尿路結石とは
腎臓でつくられた尿は尿管を通って膀胱に溜まり、尿道を通じて外部に排出されます。この尿の通り道を尿路と呼びます。腎臓では血液をろ過して不要な水分や老廃物をもとに尿をつくりますが、尿にはカルシウムや尿酸、マグネシウムなどが含まれていて、それが結晶化したものが結石です。結石は腎臓にある間は特に症状を起こしませんが、細い尿管に運ばれると痛みや腰の痛み、背中の痛みなどの症状を起こします。特に、尿管には細くくびれた部分があり、石(結石)が細くくびれた部分に移動した場合、激しい痛みが起きます。尿路結石には、結石のある場所によって腎臓結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石に分けられますが、泌尿器科を受診されるのは激しい症状を起こす尿管結石が大半を占めます。
尿路結石は再発を繰り返すケースが多く、腎機能障害につながる可能性が高くなっています。自然排出されることもありますが、尿路結石が疑われる場合は早期に受診して適切な治療を受け、再発予防を心がけることが重要です。
尿路結石の症状
尿管結石は強い痛みを起こす代表のような存在で、安静にしても痛みが続き、尿管はくびれた部分があり、そうした細い部分に結石が移動すると痛みの場所や強さが変わります。痛みは数日~数十日続くこともあります。
腎臓・膀胱・尿道に結石がある場合も症状を起こすことがあります。
尿路結石の主な症状
- 血尿
- 腰痛
- 背中痛、背中の違和感
- 腹部や脇腹の痛み
血尿は膀胱がんなど泌尿器のがんでも起こる症状です。また、腰、脇腹、腹部の痛みは深刻な腸疾患でも起こることがあります。さらに、背中の痛みは狭心症や心筋梗塞も疑われます。こうした症状があった場合にはできるだけ早く当院までご相談ください。
尿路結石の原因
尿に含まれるカルシウム、マグネシウム、尿酸などが結晶化したものが結石です。尿路結石のほとんどはシュウ酸カルシウムが結晶化したもので、結石ができる原因はまだよくわかっていません。結石を発症しやすい疾患、リスクの高い生活習慣などがある程度わかっており、発症には遺伝的要因も関与していると考えられています。
生活習慣のリスク要因
- 水分摂取量の不足
- 汗かき
- 運動不足
- 過食
- 肉類を多くとる
- 糖分・塩分の過剰摂取
結石になりやすいとされている病気
- 骨粗鬆症
- 脂質異常症(高脂血症)
- クッシング症候群
- 高カルシウム血症
- シスチン代謝異常
- 原発性副甲状腺機能亢進
- 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病など)
など
治療
自然排出を促進する保存療法を中心に行いますが、結石が大きく自然排出が困難な場合には手術を検討します。
保存療法
尿管の蠕動運動を促して結石を自然排出に導き、痛みなどの症状を緩和させる薬物療法を行います。十分な水分摂取も重要になってきます。尿酸結石やアミノ酸の一種でアルシスチンが排出されるシスチン結石の場合には尿をアルカリ性にする薬を処方することもありますが、これは長期的な効果を得る目的で行われます。
7mm以下の結石の場合、こうした保存療法を行うことでほとんどは2か月以内に排出されます。
手術
結石のサイズが大きく自然排出が難しい、痛みが強い、保存療法の効果が十分には得られない、または結石によって尿の流れが阻害されて腎機能障害につながる可能性がある場合には、手術を検討します。
手術には、内視鏡による超音波・レーザー・圧縮空気による結石の破砕、または体外からの衝撃波などが行われています。侵襲の大きい開腹手術が行われることはほとんどありません。手術が必要になった場合には、連携している医療機関をご紹介し、適切な治療をできるだけ早く受けていただけるようにしています。
生活習慣の見直しによる再発予防
結石は再発を繰り返すことが多いため、再発の予防が重要になります。特に重要なのは、水分を十分にとってトイレを我慢しないことです。それに次いで重要なのが食生活などに関する注意です。
シュウ酸、尿酸、ビタミンCの過剰摂取にお気を付けください
結石で多いのはシュウ酸カルシウムです。シュウ酸を多く含むのは、ホウレンソウやナッツ、チョコレート、コーヒーです。こうした食品を過剰に摂取しないようにしてください。また、ホウレンソウはゆでてからしっかり水洗いすることでシュウ酸がかなり減少します。
尿酸も結晶化しやすい成分です。血中の尿酸値が増加すると関節に針状の尿酸結晶がたまって炎症を起こす痛風発作を起こすことがありますが、尿酸が尿路結石になることもあります。プリン体は尿酸値を上昇させるため、痛風と結石のリスクを上昇させます。レバーや魚卵、えびなどプリン体を多く含むものができるだけ控えましょう、またビールだけでなくアルコールは尿酸値を上昇させますので、適量を守ってください。
なお、ビタミンCを過剰に摂取すると体内でシュウ酸ができて結石のリスクが上昇します。野菜や果物などで摂取する程度の場合はそれほど問題がありませんが、サプリメントやドリンク類などで過剰摂取しないよう心がけてください。
カリウムやマグネシウム、カルシウムの摂取を心がけましょう
動物性たんぱく質のとりすぎに注意し、野菜や果物をしっかりとってください。野菜や果物には結石をつくりにくくするカリウムが豊富に含まれています。また、炭水化物も結石予防に不可欠なマグネシウムが含まれているため、適度に摂取するよう心がけてください。
牛乳や小魚といったカルシウムは積極的にとってください。カルシウムはシュウ酸の吸収を抑えるため、結石予防に役立ちます。また、大豆製品やピーマンなどにもカルシウムが豊富に含まれています。